名前のない定理

マニアックな数学

メモ 斜面を転がる球

高さから静かに手を離した球が最も下の点で得られる速度をとすると, 摩擦による熱の発生があるとき 摩擦による熱の発生がないとき

東京大学の入試問題について

東大の入試に次のような問題が出題されたみたいです. となるような最小の自然数を求めよ.この問題の解説は別のサイトに譲ることにします.問題を解く途中でを評価する必要が出てきました.このを上から抑える面白い方法を発見したのでここに書いておくことにし…

平方剰余記号の定理

を自然数とする.が素数のとき,が成り立つ.ここで括弧はルジャンドル記号である.実例:のとき,. のとき,. のとき,.証明:にを掛ける.法の合同式を考えると,. よってが成り立つ.(証明終わり)

サイクロイドの時間等分問題

サイクロイドを軸に対して反転させた斜面上の物体の運動を考えます.の地点で手を放すとします.ある点の地点まで物体が移動したとき,それにかかる時間をとします.ここで時刻がのとき,物体はどこにあるかという問題を立てます.これを解いていきましょう.サイク…

数学オリンピックのある問題について

数学オリンピックに次のような問題が出されたことがあるようです.問題:を自然数とする.もしがで割り切れるならば,は平方数であることを示せ.この問題の解説は別のサイトに任せて,私は次のような問題を立ててみました.がで割り切れるような自然数の組にはどの…

作用幾何学入門2

前回の記事 box-white.hatenablog.com定義7,二点の中点とはであり,が存在してとなること.定理8,とする.がの中点であることと,がの中点であることは同値. (証明)定理6よりである.またが存在し,である.このときとなり,確かにはの中点となる.定義9,,をを固定す…

作用幾何学入門1

作用幾何学について解説します.ガウスは三次元空間内の二点を通る直線を「を固定するような変換の下で不変な点の集合」と定義したそうです.を固定するような合同変換はを通る軸の周りの回転だけになり,それで不変な点は確かにを通る直線になります.このこと…

計量スプーンとペル方程式(数学)2

前回の記事の続きです.box-white.hatenablog.com半球状の計量スプーンの二等分問題を考えました.今回は一般化して等分の問題を考えてみましょう.前回と同じように球の半径を,求める深さをとすると が成り立ちます.これを整理してと正規化すると となります.…

計量スプーンとペル方程式(数学)1

次のような問題を考えましょう.問題「半球状の計量スプーンがある.これに砂糖を擦切りいっぱいで入れる.この砂糖を半分捨て残った半分を平らに均して,砂糖の作る平面が球の切断面と平行になるようにする.このとき砂糖の深さはいくらか?」私はこの問題がロー…

はんじょうのケーキ三等分問題(数学)4

前回までの記事で box-white.hatenablog.com box-white.hatenablog.com box-white.hatenablog.com 個性的な方法(円周の一点から放射状に切る)でケーキを三等分することを考えてきました.今回は一般の自然数に対して等分することを考えます.結論を先に言うと,…

はんじょうのケーキ三等分問題(数学)3

ケーキを三等分するときに用いる「はんじょう角」に新しい性質が見つかったので投稿します.box-white.hatenablog.combox-white.hatenablog.com「はんじょう角」をとすると,という性質がありました.今回紹介するのは次の定理です.定理 「はんじょう角」は円周…

はんじょうのケーキ三等分問題(数学)2

前回の記事 box-white.hatenablog.com ではんじょうさんのケーキ三等分問題はロープを使えば解決できることを示しました.今回は別の方法でケーキを三等分することを考えます.その前にはんじょうさんのようにケーキを三等分するときの角度を「はんじょう角」…

三乗数の四つの和

です.連続する整数がこのような関係にあるだけで面白いといえるのですが,今回はここから発展させて新しい等式を導いていきましょう.目標はです.第一の式を書き変えて,とします.の方程式 を考えていきます.の係数はどちらもよりとなります.よってこの方程式は…

はんじょうのケーキ三等分問題(数学)

皆さんはゲーム実況者として活躍されている「はんじょう」という方をご存じでしょうか.彼はある日の配信でケーキを次のように三等分することを提案しました.hanjou1このように三等分するには,角を上手に定める必要があります.今回私はロープを使えばこの三等…

自由研究 グレブナー基底と仮想次元2

前回の記事の続きです. box-white.hatenablog.com前回の記事で次のような問題が提示されました. 問3:イデアルの生成元を適切に選んで,仮想次元に整合的にすることはできるか?答えは簡単で被約グレブナー基底をつくれば,そのような仮想次元をすべて求めること…

謎の自由研究 グレブナー基底と仮想次元

グレブナー基底の教科書[1]の中にある次の記述が気になりました.p144 イデアルを三つの多項式で生成されるイデアルとする.このときの被約グレブナー基底のうちにはが含まれる.残念ながらこの元の論文にアクセスすることはできませんでした.そこでこの記述の…

自由研究 ヒルベルトの数論報告を読む #11

今回の記事は個人的メモみたいなものです.のイデアルの基底を求める.このとき生成元が二つあるからと言ってこれ自体がイデアルの基底になるわけではない.box-white.hatenablog.com で説明した方法で基底を求める.整数環の整基底はなので,これをにそれぞれ乗…

tan(x) = xの根について3

前回の記事 box-white.hatenablog.com での正の根の無限級数を求めました.ここでは別角度から問題に迫ってみましょう.アダマールの因数分解定理を既知とします.まず,次の二つの補題を証明します.補題1 複素変数の方程式の解は実軸の上にしかない. 証明:を指…

tan(x) = xの根について2

前回の記事 box-white.hatenablog.com での根の無限級数の値を求めました.今回はこの続きとして一般的な級数の値を求める方法を考えます.まずと置きます.ここではの任意の正の根です. となって部分積分の公式から となります. を用いてもう一度部分積分の公…

スツルム-リウヴィル型微分方程式の応用 tan(x) = xの根について.

今日はスツルムーリウヴィル型微分方程式を応用して次のような公式を導きます.公式 の正の根をで表すと 早速証明していきましょう.スツルムーリウヴィル型微分方程式とはなる実数値連続関数が与えられたとき次のような微分方程式を指します. ここでは未定の…

謎の自由研究 全自動定理生成器のアイデア

今回は新しい定理を提案してくれるようなプログラムを考えてみました.実際に部分的に作ってみました.そこでなんだかよくわからない結果を得られたので投棄しておきます.(今回の内容はトンデモ成分が多めです.)数学の定理は複数の定理を組み合わせることで生…

自由研究 ヒルベルトの数論報告を読む #10

前回の記事 box-white.hatenablog.com でヒルベルトがイデアルを導入したことに触れました.今回は次のような問題を考えたいと思います.問題:与えられたイデアルが単項イデアルかどうか判定する方法を編み出せ.イデアルが単項イデアルかどうかは類数の決定な…

自由研究 ヒルベルトの数論報告を読む #9

ヒルベルトは次にイデアルを定義します.「体の無限個の代数的整数の集合が,任意の線形結合が再びその集合に属するという性質を持つとき,この集合をイデアルという.ここでは体の代数的整数である.」イデアルには基底が存在することが定理6の内容です.「定理6:…

ガウス整数論の計算を少しだけ楽に追う方法 #2

ガウス整数論の以前の記事で次のような計算をしました.box-white.hatenablog.com とするとき が得られる. (前回の記事とは文字を変えています.など.)私はこの等式をグレブナー基底を用いて確認しようとしました.つまり と置き,多項式イデアルをで定義し,グ…

行列式は平行四辺形の面積ですか?

平面上四つのベクトルで作られる平行四辺形の面積を求めて行きます.この平行四辺形をと表すことにします.とすると平行四辺形の面積はとなります.これを示していきましょう.実数に対して平行四辺形を平行四辺形に変える二つの変換を考えます. 定理1:二つの変…

自由研究 ヒルベルトの数論報告を読む #8

整基底を求める問題で共役数を用いる方法を解説してきました.今回はの根を有理数体に添加した体の整基底を求めて行きます.の三つの根をと置く.よりは体の生成元である.判別式が有理数の平方なので,この拡大はガロア拡大である.従って別の根をの有理式で表現…

自由研究 ヒルベルトの数論報告を読む #7

前回の記事での整基底を求めようとしていました.そこで形式 の数,ただしは有理整数,の中でどの数が整数になるかを決定しようとしていました.そしてこの形式であらわされる数をで表記すると,が整数でないことを共役数をとる議論で示しました.今回はこの続きで…

自由研究 ヒルベルトの数論報告を読む #6

定理5は整基底の存在定理でした.この証明を読むとを体の生成元,を体の次元,を判別式,を整基底とすると 各は と表現されることが分かります.ここでは有理整数です.今回はこの定理を愚直に用いて具体的な体の整基底を決定してみます.例:として体の整基底を決定…

ガウス整数論の計算を少しだけ楽に追う方法 #1

ガウス整数論はいい本です.しかしその計算を自分で確かめようとすると,多大な労力が必要になります.例えば162条において次のような計算がなされます. とするとき となる.ここで同じ文字を二度繰り返しているのは二乗を表しています.実際にはこのような計算が…

自由研究 ヒルベルトの数論報告を読む #5

セクション3に入ります.タイトルは「数のノルム,Differente,判別式,体の基底」となっています.代数的数のノルムを共役数との積で定義します.の共役数を としたときノルムは と定義されます.次にDifferenteというものを定義します.高木貞治先生の「代数的整数…