名前のない定理

マニアックな数学

三乗数の四つの和

3^3+4^3+5^3= 6^3です.連続する整数がこのような関係にあるだけで面白いといえるのですが,今回はここから発展させて新しい等式を導いていきましょう.目標は263^3 + 363^3 + 907^3 = 933^3です.

第一の式を書き変えて,3^3+ 4^3 + 5^3 + (-6)^3 = 0とします.s,tの方程式
(3s + 4t)^3 + (4s + 5t)^3 + (5s - 6t)^3 +(-6s + 3t)^3 = 0
を考えていきます.s^3,t^3の係数はどちらも3^3 + 4^3 + 5^3 + (-6)^3 = 0より0となります.よってこの方程式は
(3^2 \cdot 4 + 4^2 \cdot 5 + 5^2 \cdot (-6) + (-6)^2 \cdot 3) s^2 t \\ +(3 \cdot 4^2 + 4 \cdot 5^2 + 5 \cdot (-6)^2 + (-6) \cdot 3^2) st^2 = 0
となります. 係数を計算して,stで割ってやると74s+ 274 t = 0となります.2で割ってやると,37s + 137t = 0となり,この方程式はs = 137 , t = -37を解に持つことが分かります.

この値を(3s + 4t)^3 + (4s + 5t)^3 + (5s -6t)^3 +(-6s + 3t)^3に代入すれば,等式263^3 + 363^3 + 907^3 = 933^3が得られます.

次回はラマヌジャン恒等式(6s^2 -4st + 4t^2)^3 = \\ (3s^2+5st-5t^2)^3 +(4s^2 - 4st + 6t^2)^3 + (5s^2 - 5st -3t^2)^3
を導きます.手品のタネは今回と同種のものが一つと係数の選択の対称性です.最後までお読みいただきありがとうございました.