高さから静かに手を離した球が最も下の点で得られる速度をとすると,
摩擦による熱の発生があるとき
摩擦による熱の発生がないとき
東京大学の入試問題について
東大の入試に次のような問題が出題されたみたいです.
となるような最小の自然数を求めよ.
この問題の解説は別のサイトに譲ることにします.問題を解く途中でを評価する必要が出てきました.このを上から抑える面白い方法を発見したのでここに書いておくことにします.
まずです.を計算します.二桁と二桁の掛け算なのでそんなに時間はかかりません.この結果を小数点第三位を繰り上げると上からの評価が得られます.つまりなのでとなります.です.ここでも右辺を計算し,小数点第三位を繰り上げるとが得られます.
この調子で計算を続けていきます.となります.
という評価が得られました.右辺の計算も二桁と二桁の掛け算に丸めて行いました.
問題を解くにはこれで十分です.
これがどれだけ真の値と近いか比較してみます.なのでという評価はかなりいい感じなのが分かります.
に近い数の累乗を抑える面白い方法が見つかりました.ついでにこのの結果からとなかなかの結果が得られます.暇な人はぜひ考えてみてください.
数学オリンピックのある問題について
数学オリンピックに次のような問題が出されたことがあるようです.
問題:を自然数とする.もしがで割り切れるならば,は平方数であることを示せ.
この問題の解説は別のサイトに任せて,私は次のような問題を立ててみました.
がで割り切れるような自然数の組にはどのようなものがあるか.
がで割り切れるような自然数の組の集合をとします.またの平方根がとなるようなの集合をと書くことにします.
コンピューターで総当たりの計算をさせると次のような面白いの列に出会いました.
このように一つの数を共有する列が見つかりました.この数をぐっとにらんで考えたところ,次のような二つの定理があることが分かりました.
定理1:
定理2:ならば
証明していきましょう.定理1の場合,分数はとなり割り切れます.定理2の場合,分子はとなりますが.より,となるので,となります.分母はとなるので,がで割り切れ,その分数はになることが分かりました.(証明終わり)
面白い定理が見つかりました.上で見つかったはすべてこの方法で得ることができています.こうなると次の問題を立てたくなります.
問題:は定理1と定理2の方法ですべて得られるか?
ここでブログを終わろうと思いましたが,次のような定理が見つかりました.
定理3:ならばから作られる分数の値はになる.
これは上の二つの定理と同様に示すことができます.これは定理2の反対になっています.つまり定理2のをと表してをで表したものが定理3になります.さらに次の定理も見つかりました.
定理4:でかつならば.
背理法で示します.とするとになります.一方なのでこれに不等式を代入すると,.ここでとを使うと,となり矛盾です.よってが得られました.
定理5:とする.ここから定理3の操作を繰り返して列を作る.このとき第一引数が負の数になることはない.
でとし,とする.をと置くと,が成り立ち,である.よりである.をで表し整理するととなる.ところがより左辺はよりも真に大きいため矛盾である.従って定理3の操作を繰り返しても第一引数は負の数にならない.(証明終わり)
以上の定理からの構造が完全に得られます.とすると定理3の操作を繰り返せば,第一引数がだんだん小さくなります.無限に減少する自然数の列は不可能であり,第一引数が負の整数になることはないため,第一引数はある時点でにならなければいけません.このとき直前の自然数の組はとなることから,すなわちとなりこの組はとなります.ここから逆向きにたどる,つまり定理2の操作を繰り返せばが得られることが分かります.は定理1と定理2の操作を繰り返すことですべて得られることが分かりました.
作用幾何学入門2
前回の記事
box-white.hatenablog.com
定義7,二点の中点とはであり,が存在してとなること.
定理8,とする.がの中点であることと,がの中点であることは同値.
(証明)定理6よりである.またが存在し,である.このときとなり,確かにはの中点となる.
定義9,,をを固定するの群とする.を中心としを半径とする球面とは,が存在してとなる点全体の集合と定義する.この球面をと書く.
定理10,,とする.ならば
(証明)が存在し,となる.このときであり,であり定理が証明された.
定理11,とし,とする.任意のと任意のに対してが成り立つ.
(証明)より,に対し.よりが存在し,.このときが成り立ち,従ってが言えた.
定義12,とする.が直線の軸移動であるとは,かつとなること.この変換全体の集合をと表す.
定理13,とする.に対して.
(証明)定理6より.と定理3から
この文章はフィクションです.作用幾何学という分野は存在しません.
作用幾何学入門1
作用幾何学について解説します.
ガウスは三次元空間内の二点を通る直線を「を固定するような変換の下で不変な点の集合」と定義したそうです.を固定するような合同変換はを通る軸の周りの回転だけになり,それで不変な点は確かにを通る直線になります.
このことに範をとり,群が集合上に作用しているとき,集合上に直線を書くことができそうです.早速定義をしていきましょう.
この文章では一貫して群が集合に作用しているとする.また群の元はギリシャ文字で,集合の元はラテン文字を用いて表すことにする.
定義1に対し,の部分群をの両方を固定するの元全体の集合とする.
定義2 に対しの部分集合を,任意のの変換で不変なの元の集合とする.これをを通る直線と言い表す.
定理3について,ならば
(証明) ならばより.よって(証明終わり)
定理4について,ならば
(証明)定理3より.従ってより定理が言える.(証明終わり)
定理5,とする.このとき集合との間には全単射があり,その対応はに対してを対応させることで得られる.
(証明)とすると,より,が言える.
ならゆえに単射性が言える.
とすると,が容易に分かる.よってが存在し,が言える.これで写像の全射性が言えた.(証明終わり)
定理6,とする.このとき集合と集合の間には全単射があり,その対応はに対してを対応させることで得られる.
(証明)定理5より任意のに対してが存在してとなる.このときが言える.ここでであることを用いた.従ってであることが言える.単射性は群の作用より証明できる.に対してはの元であることが言える.これより全射性が言える.(証明終わり)
長くなったので記事を分割します.これから中点,球,平行移動について定義し,その性質を見ていきたいと思います.
(この文章はフィクションです.作用幾何学という分野は存在しません.)