名前のない定理

マニアックな数学

サイクロイドの時間等分問題

サイクロイドx = a(\theta - \sin( \theta)),y = a(1-\cos(\theta))x軸に対して反転させた斜面上の物体の運動を考えます.\theta = 0の地点で手を放すとします.ある点\theta_0の地点まで物体が移動したとき,それにかかる時間をT_0とします.

ここで時刻が\dfrac{T_0}{2}のとき,物体はどこにあるかという問題を立てます.これを解いていきましょう.

サイクロイド\theta = 0から\thetaまでの長さをl(\theta)とします.エネルギー保存則から\dfrac{d l}{d t} = \sqrt{2gy}が成り立ちます.\dfrac{T_0}{2}時点の\thetaの値を\theta_1とするとき,次の等式が成り立ちます.
\int_{0}^{\theta_1} \dfrac{d l }{\sqrt{2gy}} = \int_{0}^{\theta_1} dt = \dfrac{T_0}{2}

ここで\dfrac{dl}{d\theta} = \sqrt{\left(\dfrac{dx}{d \theta} \right)^2 + \left(\dfrac{dy}{d \theta} \right)^2}
より,\dfrac{dl}{d\theta} = \sqrt{2ay}となります.従ってこれを積分の式に代入すると
\int_{0}^{\theta_1} \sqrt{\dfrac{a}{g}} d \theta = \dfrac{T_0}{2} = \dfrac{1}{2}\int_{0}^{\theta_0} \sqrt{\dfrac{a}{g}}d \thetaとなります.よって\theta_1 = \dfrac{\theta_0}{2}が言えました.これが答えになります.

\thetaと時刻Tが簡単な関係で結び付くというサイクロイドの面白い性質が分かりました.