第一回
box-white.hatenablog.com
前回
box-white.hatenablog.com
前回の内容をおさらいしておきましょう.
を3で割って1余る素数とし,をの原始根とする.の0以外の剰余を次の3つのグループに分ける.
グループA:の指数が3で割れるもの.
グループB:の指数が3で割って1余るもの.
グループC:の指数が3で割って2余るもの.
グループAの数に1を足すと再びグループAの数になるような剰余の個数を,
グループAの数に1を足すとグループBの数になるような剰余の個数を,
などと表わし,これらを3かける3の行列に並べたものを「ガウステーブル」と名付けた.
前回得られた定理は次のようなものでした.
とすると,.
今回はここから始めましょう.今回の目標は次の定理になります.
定理1:を3で割って1余る素数とする.このとき整数が存在してとなるが,これは二項係数から計算することができる.
定理2:をの法に関する絶対最小剰余とすると,は平方数となる.
前回からを求めましたが,今度は逆にとなる自然数が分かっている状態で
をで表示する方法を考えていきます.
となります.最後の等式はガウステーブルの第二行の総和がグループBに属する剰余の個数と等しいことに由来します.
この連立方程式を解くと
となります.
ここで次の補題を証明しましょう.
補題1:
(i)
がの倍数でないならば,
(ii)
がの倍数ならば,
証明:(i)左辺を原始根で表示すると
となる.等比級数の公式から
となるが,が原始根,がの倍数でないので.
であるので,右辺は0.従って総和が0と合同であることが分かった.
(ii)フェルマーの小定理からに対して.それゆえ各項はと合同.ゆえに
が言えた.
次の和の剰余を二通りに計算します.
まず補題1を用いるとの項と定数項以外はすべてであり,その二つはなので
であることが分かります.
今でを定義すると,各項はのいずれかになることが分かります.それがいつ起こるのかを考えると,がグループA,B,Cに属するとき,それぞれになることに気づけます.は必ずグループAの数です.自然数に対して合同方程式は必ず3つの非合同な解を持ちます.これらを統合するとがと合同になるの個数はそれぞれと等しくなります.ゆえに
この二つを等置して
についても同様にを導くことができます.
を用いてこの状況を整理すると
となります.とします.をに代入するととなります.ここからとなります.
補題2:ならば.
証明:から.またならば.ゆえにから補題が示せた.
補題2からのとき,はであり,それゆえを絶対最小剰余とすると,になります.これをに代入して二次方程式を解くと
となります.
これで「定理1:を3で割って1余る素数とする.このとき整数が存在してとなるが,これは二項係数から計算することができる.」がのとき証明できました.は整数でなければならないので「定理2:をの法に関する絶対最小剰余とすると,は平方数となる.」も証明できました.のときは個別にこれらが成立することが示せてこれですべての3で割って1余る素数に対しての証明が完了しました.