前回の記事でを素数,をで割り切れない整数とするとき,
が成り立つことを示しました.今回はこの続きです.
集合をの平方剰余の集合,を平方非剰余の集合とします.をで割り切れない互いに非合同な任意の整数とします.
さらにをとなる剰余の集合,
をとなる剰余の集合,
をとなる剰余の集合,
をとなる剰余の集合とします.
そしてそれぞれの個数を小文字であらわして,例えばなどと表わします.
今回の目標は次の定理になります.
定理1:との差の絶対値はを超えない.
証明のためさらに四つの集合を定義します.
をとなる剰余の集合,
をとなる剰余の集合,
をとなる剰余の集合,
をとなる剰余の集合とします.
これらの集合の元の個数もそれぞれ小文字であらわします.
証明:
は八つの集合のいずれかに所属し,これらの集合は共通部分を持たない.
ならなどから,この和は
となる.
から同様に
となる.
これらの式の差をとると
となる.ここでは大きくてもでどちらか一方がなら他方はであるので,
はである.同様にである.
従って,となるがは整数なので
はのいずれかの値を取ることが示せた.(証明終わり)