前回の記事でディオファントス方程式
についてに限定して考察しました.今回は一般のについて考えていきましょう.
まずが偶数であるときを考察します.とすると
となります.左辺は因数分解ができてとなります.にはしか共通因数がありません.そこで可能性として
のみになります.ここでです.二番目の式から一番目の式を引くことによって,の二通りの式が得られます.左辺を因数分解してとなりますが,の整数因子がしかないことなどを用いるとこれは有限個の可能性しかありません.これらをしらみつぶしに検討していくと,のみが答えになり,ここから初めの方程式はのみを整数解に持つことが分かりました.
よって以下を奇数として考えます.
初めにが偶数で,が奇数であることを示します.が奇数だとすると,ある整数を用いてとなります.これはで割るとあまる整数です.ところがは奇数であるか,で割り切れる整数のどちらかになるのでこれは矛盾です.従っては偶数では奇数であることが示されました.
ディオファントス方程式を因数分解します.となります.次ははガウス整数の領域において互いに素であることを示します.の共通因数はその差を割ります.共通因数はの因子であることが分かりました.ところがは偶数でしたので,のノルムは奇数になります.もしの因子を持っていたとするとノルムが偶数であるはずなので矛盾です.は互いに素であることが示されました.
が互いに素であったことと,ガウス整数の一意分解性からある整数が存在して,かつとなります.は奇数なのでのいずれか一方が偶数で,もう片方が奇数となります.
の場合を考えましょう.両辺の虚部を比較すると
となります.右辺はで割り切れるので,です.
の場合を考えましょう.の片方が偶数だったので,は偶数になります.このとき
です.最後の項がだった場合,となりますが右辺はで割り切れるので矛盾です.以下最後の項はであるとします.
ここで以外の整数解を持たないことを示します.とすると,両辺をで割って
となります.ここで同時に二項係数の性質を用いました.さてのとき
に含まれるのベキ指数はに含まれるのベキ指数より真に大きいことを示します.
です.中央の項は整数です.ここで(に含まれるのベキ指数)はより小さく,であることを用いると,上式最後の項は分子がのべきで割り切れる既約分数であることが分かります.よってに含まれるのベキ指数はに含まれるのベキ指数より真に大きいことが示されました.
ここから
は不可能であることになり,しかないことが分かりました.
他のケースも同様の考察を行うことで,のみがの整数解であることが分かりました.