1850年M.Lebesgueは次のディオファントス方程式について以下のような結果を得ました.
方程式を満たす整数の組はしか存在しない.
以下でこれについて解説していきます.
証明にはガウス整数(,は整数)が一意分解整域であることを用います.これが正しいことは前提としておきます.
方程式の左辺をと因数分解します.ここでとにはガウス整数域で公約数を持たないことを示します.もしとに公約数が存在するなら,それは両者の差の約数でもあります.よって公約数が存在するとしても,それはの因子,すなわちのどちらかであることが分かりました.
今がで割り切れるとします.するとですので,はも割り切ることが分かります.ところがはの複素共役ですので,はを割り切ることになります.このことからは二つの因子を持つことが分かりました.ゆえにはで割り切れることになりますが虚部を考慮するとそれはあり得ません.背理法からはで割り切れないことが分かりました.の因子を持たないことも同様に示せます.
さて問題の方程式に戻るとですがとなります.今とはガウス整数の世界で互いに素なので,はそれぞれの因子の乗をそのまま持つことになります.従ってある整数を用いて
,もしくは,,と書けることが分かりました.
話を分かりやすくするために,この記事ではとしましょう.一般のについては後日改めて投稿する予定です.の可能性を初めに考察していきましょう.両辺の虚部を比較するとが言えます.まずここからもしくはでなければならないことが従います.そのときそれぞれもしくはが成立し,ここから可能性として,すなわちが導けます.
残りの可能性も同様に考察することができ,いずれの場合ものみが解であることを示します.よって方程式には唯一の解のみが存在することが言えました.