名前のない定理

マニアックな数学

挑戦!フェルマーの最終定理 1-2-13 複素数の極形式1

今回目標にする定理は次のものになります.これは複素数を別の方法で表現することにつながります.

二つの実数x,yが与えられたとき,正の実数rと角\thetaを用いて
x = r \cos \theta,y = r \sin \thetaと書ける.

証明:r = \sqrt{x^2 + y^2}とすれば,
\left( \dfrac{x}{r}\right)^2 + \left( \dfrac{y}{r} \right)^2 = 1
が成り立つ.これは二つの実数\dfrac{x}{r},\dfrac{y}{r}が単位円状にあることを意味する.
よってある角度\thetaを用いて
\dfrac{x}{r} = \cos \theta,\dfrac{y}{r} = \sin \theta
と書ける.両辺にrを掛ければ定理が示された.

複素数の話に戻りましょう.z = x + iyを上の定理のr,\thetaを用いて書き直すと
z = r(\cos \theta + i \sin \theta)と書けます.これを複素数極形式と言います.

rは原点からの距離,\thetax軸からの角度を表します.
複素数の文脈ではrを動径,\theta偏角と言います.
\theta = \arg zなどの記号を用いることもあります.

\thetaは一つに決まりません.\cos(\theta + 2 \pi) = \cos(\theta),\sin(\theta + 2\pi) = \sin(\theta)なので
2\piの整数倍だけ不定性があります.