平面上四つのベクトルで作られる平行四辺形の面積を求めて行きます.この平行四辺形をと表すことにします.とすると平行四辺形の面積はとなります.これを示していきましょう.
実数に対して平行四辺形を平行四辺形に変える二つの変換を考えます.
定理1:二つの変換は等積変形である.すなわち変換後の平行四辺形の面積は変換前の平行四辺形の面積に等しい.
図形的に証明します.変換は二つの頂点をそれぞれベクトルの向きに同じ距離だけ動かしたものに他なりません.このとき二点を結んだ辺は変化せずそれに対する高さも変化しません.よって面積は変わらないことになります.変換に対しても同じです.(証明終わり)
次に平行四辺形から実数を作る関数を次のように定義します.
定義2:
のとき平行四辺形のを
で定義する.
定理3:平行四辺形をで変換した平行四辺形をとする.このときである.変換に対しても同様のことが成り立つ.
証明:平行四辺形を形作る二つのベクトルをとする.変換を施した後の平行四辺形はより作られる.
このときとなる.(証明終わり)
平行四辺形の面積を求めて行きます.変換を次々に行うことで平行四辺形を長方形にすることができます.このとき長方形の面積との絶対値は等しくなります.(自分で考えてみましょう)
定理1から平行四辺形の面積と長方形の面積は同じです.また定理3からです.
よって(平行四辺形の面積)(長方形の面積)となり,
平行四辺形の面積はと等しくなります.
平行四辺形の公式について,この形の証明はネットに落ちてなかったので記事を書きました.この方法なら行列式の性質さえ確認しておけば,三次元の平行六面体の体積についても同様の証明ができます.