名前のない定理

マニアックな数学

自由研究 ヒルベルトの数論報告を読む #2

前回の記事で代数的数,体の生成元などの定義をしました.数論報告は次に共役数,共役体の定義をします.

\thetaを体の生成元とします.
以下翻訳.ドイツ語は全部独学なので間違いも多いかと思いますがご了承ください.


\thetaが満足する最低次有理係数等式の次数mを体の次数と名付ける.(思い切り意訳)数\thetaは体の生成元(これでええんかな)と呼ばれる.数\thetaに関するm次の等式は有理数が定める有理領域(体のこと.ヒルベルトは体を名付けるにあたって有理領域という別の名前も与えています)において既約である.逆にそのような既約式の任意の根はm次の体を定める.

\theta',\theta^{(2)},\ldots,\theta^{(m-1)}を等式のm-1個の他の根とすると,\theta',\theta^{(2)},\ldots,\theta^{(m-1)}に対して定まる体k',k^{(2)},\ldots,k^{(m-1)}を体kの共役体という.

翻訳終わり

具体例を挙げておきましょう.

例1
\theta = \sqrt{2}とします.\thetaが満足する有理数係数等式のうち最も次数が低いものはx^2-2=0です.それゆえ\mathbb{Q}(\sqrt{2})は次数が2の体ということになります.x^2-2=0の他の根は-\sqrt{2}であり,それゆえ共役体は自分自身\mathbb{Q}(\sqrt{2})となります.

次に体kの数\alphaについて共役数を定義しています.

以下翻訳
\alphaを体kの任意の数とし,
\alpha = c_1 + c_2 \theta + c_3 \theta^2 + \cdots + c_m \theta^{m-1}とする.ここでc_1,\ldots,c_m有理数である.このとき以下の数
\alpha' = c_1 + c_2 \theta' + \cdots + c_m {\theta'}^{m-1}
\alpha^{m-1} = c_1 + c_2 \theta^{(m-1)} + \cdots + c_m{\theta^{(m-1)}}^{m-1}
をそれぞれ置換t' = (\theta ;\theta'),\ldots,t^{(m-1)} = ( \theta ; \theta^{(m-1)})によって\alphaから生じる数,または\alphaの共役数(conjugirten Zahlen)と名付ける.
翻訳終わり