ヒルベルトの数論報告を読んでいきます.
まず代数的数,体の定義をしています.最初に出てくる定理を見てみましょう.
定理1:任意の体(ここでは有理数体の有限次拡大)について,体のすべての数がの有理数係数多項式であらわされるような数が存在する.
今日はこれを具体例を通して確認していきたいと思います.
例1:の場合.
とすれば良い.実際を計算すると
なので,逆行列を計算して(sagemathを用いた)
となる.確かにがの有理数係数多項式で表現できた.
数論報告にはこの定理の証明は掲載されていませんが,当時の数学者たちの間では当たり前の事実だったのでしょうか.