ケーキを三等分するときに用いる「はんじょう角」に新しい性質が見つかったので投稿します.
「はんじょう角」をとすると,という性質がありました.今回紹介するのは次の定理です.
定理
「はんじょう角」は円周率の有理数倍ではない.
証明に入る前に補題を用意します.
補題:
はある整数係数多項式を用いてと表現することができる.
(補題の証明)
として,をまとめて考える.のときと置けばよい.について補題が正しいとする.
に
などを代入し,を使って変形すると,
となる.についても同様の議論を行い,
が分かる.数学的帰納法を用いれば補題が証明できる.
補題2:
が偶数のとき,,が奇数のとき,
証明は簡単な数学的帰納法による.
定理を証明しましょう.
「はんじょう角」はを満足する.よってがの有理数倍ならもの有理数倍.またがの有理数倍ならある自然数が存在し,となる.
の偶奇で場合分けをし,どちらの場合も不可能であることを示す.
が偶数のとき,二つの補題から,が成り立つ.なので,が成り立つ.はの有理数倍なので,はある有理係数多項式の根となるが,これはが超越数であることに矛盾.
が奇数のとき,二つの補題から,が成り立つ.再びがある有理係数多項式の根となるが,これはが超越数であることに矛盾.
従って「はんじょう角」は円周率の有理数倍ではないことが示された.(証明終わり)