名前のない定理

マニアックな数学

はんじょうのケーキ三等分問題(数学)4

前回までの記事で
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個性的な方法(円周の一点から放射状に切る)でケーキを三等分することを考えてきました.今回は一般の自然数Nに対してN等分することを考えます.

結論を先に言うと,ロープを使えばN等分が作図可能であることが示せます.早速証明していきましょう.

Nが奇数のときを考えます.円(x-1)^2 + y^2 = 1を書きます.x軸と直線OBに囲まれた部分の面積を考えます.この部分の面積を\dfrac{\pi}{2N}にできれば,N等分の中央にある一片の半分が得られます.この部分の面積を\dfrac{3\pi}{2N}にできれば,N等分の中央にある一片の半分と,もう一人分のケーキができます.以下これを考えていくと,2n+1 \leq Nなる任意の自然数に対して,この部分の面積を\dfrac{(2n+1)\pi}{2N}にすることができればケーキをN等分できることが分かります.

この部分の面積をグリーンの定理で求めて行きましょう.原点を通る直線に対する線積分\int x dy - y dx0になることが分かるので,円周部分の線積分\dfrac{1}{2} \int x dy - y dxを求めればそれが面積になります.円の中心角\thetaでパラメータ付けします.x = 1 + \cos (\theta),y = \sin(\theta)となります.角AOB\theta_Bとして線積分を計算すると
\dfrac{1}{2} \int x dy - y dx
 = \dfrac{1}{2} \int_{0}^{\theta_B} ( \cos (\theta) + 1) \cos (\theta) + \sin(\theta) \sin(\theta) d \theta
 = \dfrac{1}{2} \int_{0}^{\theta_B} \cos(\theta) + 1 d \theta
 = \dfrac{1}{2} (\sin(\theta_B) + \theta_B)
となり,これが面積になります.面積が\dfrac{(2n+1) \pi}{2N}に等しいので,中心角\theta_B
\theta_B + \sin (\theta_B) = \dfrac{(2n+1)\pi}{N}
となります.

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で示したように,\theta_B + \sin(\theta_B) = r \pi(r有理数)は作図可能です.よってロープを使えばケーキをN等分できることが分かりました.

偶数のNに対しても同じことができます.