名前のない定理

マニアックな数学

はんじょうのケーキ三等分問題(数学)2

前回の記事
box-white.hatenablog.com
ではんじょうさんのケーキ三等分問題はロープを使えば解決できることを示しました.今回は別の方法でケーキを三等分することを考えます.

その前にはんじょうさんのようにケーキを三等分するときの角度を「はんじょう角」と呼ぶことにします.「はんじょう角」を\thetaとすると, \sin (\theta) + \theta = \dfrac{\pi}{3}という性質がありました.

今回は次のように縦に三等分することを考えます.

hanjou2_1

hanjou2_2

このとき角AOBは「はんじょう角」に等しいことが示せます.

hanjou2_3

真ん中の部分の面積は三角形OBDと扇形OABの和を二倍したものです.よって三角形OBDと扇形OABの面積は\dfrac{\pi}{6}となります.

AOB\tauとします.扇形OABの面積は\dfrac{\tau}{2}です.三角形OBDの面積は\sin\left( \dfrac{\tau}{2} \right) \cos \left( \dfrac{\tau}{2} \right)となります.これは\dfrac{1}{2} \sin(\tau)と変形できます.よって角度\tauは式
 \dfrac{\tau}{2} + \dfrac{1}{2} \sin(\tau) = \dfrac{\pi}{6}を満たします.よって\tau + \sin(\tau) = \dfrac{\pi}{3}となって\tauが「はんじょう角」と等しいことが示せました.

最後に作図方法を考えてみましょう.前回の作図ができたものとして進めます.

hanjou1
中心OからNPNQに平行な直線を引き,円との交点を求めます.
hanjou2_4
二つの交点をA,Bとします.

A,BからONに平行な直線を書けば,ケーキを三等分できます.(ちょっと図が悪いのはご了承ください.)

「はんじょう角」にはこのような不思議な性質があることが分かりました.