セクション3に入ります.タイトルは「数のノルム,Differente,判別式,体の基底」となっています.
代数的数のノルムを共役数との積で定義します.の共役数を
としたときノルムは
と定義されます.
次にDifferenteというものを定義します.高木貞治先生の「代数的整数論」では共役差積,あるいは単に差積と訳されています.のDifferenteは
で定義されます.ここでヒルベルトは"Ferner nenne ich das Product -- die Differente der Zahl "(さらに私はこの積を数のDifferenteと名付ける.)と言っています.「私が名付ける」と言っているのでDifferenteという概念は当時存在しなかっただろうことが伺えます.
代数的数の判別式をで定義します.
続いて「数の判別式あるいは差積がと異なる」ことと「が体の生成元であること」が同値であることが証明なしに記されています.
定理5:次の体には個の整数が存在して,体の任意の整数は形式
で表現されうる.ここでは有理整数である.
整基底の存在の定理ですね.