名前のない定理

マニアックな数学

自由研究 ヒルベルトの数論報告を読む #11

今回の記事は個人的メモみたいなものです.

\mathbb{Q}(\sqrt{-5})イデアル(7,2+3\sqrt{-5})の基底を求める.このとき生成元が二つあるからと言ってこれ自体がイデアルの基底になるわけではない.

box-white.hatenablog.com
で説明した方法で基底を求める.

整数環の整基底は1,\sqrt{-5}なので,これを7,2+3\sqrt{-5}にそれぞれ乗じる.7,7\sqrt{-5},2+3\sqrt{-5},-15+2\sqrt{-5}の四つの数が得られる.ここから係数を拾い出し行列を作る.
\left( \begin{array}{cccc} 7 & 0 & 2 & -15 \\ 0 & 7 & 3 & 2 \end{array} \right)
列の基本変形を繰り返すと次の行列に簡約化される.
\left( \begin{array}{cccc} 1 & 0 & 0 & 0 \\ -2 & 7 & 0 & 0 \end{array} \right)
従ってイデアルIの基底は1 - 2 \sqrt{-5},7\sqrt{-5}の二数からなる.

a + b\sqrt{-5}イデアルIに属する条件を求める.a + b \sqrt{-5}1-2\sqrt{-5},7\sqrt{-5}の線形結合で表したとき,係数が整数であることが必要十分条件.従って
\left( \begin{array}{cc} 1 & 0 \\ -2 & 7 \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} x \\ y \end{array} \right) = \left( \begin{array}{c} a \\ b \end{array} \right)
が整数解x,yを持つことと同値.

ここから逆行列をかけてやることでa + b \sqrt{-5} \in I \iff 2a + b \equiv 0 \pmod{7}であることが分かる.