数学オリンピックに次のような問題が出されたことがあるようです.
問題:を自然数とする.もしがで割り切れるならば,は平方数であることを示せ.
この問題の解説は別のサイトに任せて,私は次のような問題を立ててみました.
がで割り切れるような自然数の組にはどのようなものがあるか.
がで割り切れるような自然数の組の集合をとします.またの平方根がとなるようなの集合をと書くことにします.
コンピューターで総当たりの計算をさせると次のような面白いの列に出会いました.
このように一つの数を共有する列が見つかりました.この数をぐっとにらんで考えたところ,次のような二つの定理があることが分かりました.
定理1:
定理2:ならば
証明していきましょう.定理1の場合,分数はとなり割り切れます.定理2の場合,分子はとなりますが.より,となるので,となります.分母はとなるので,がで割り切れ,その分数はになることが分かりました.(証明終わり)
面白い定理が見つかりました.上で見つかったはすべてこの方法で得ることができています.こうなると次の問題を立てたくなります.
問題:は定理1と定理2の方法ですべて得られるか?
ここでブログを終わろうと思いましたが,次のような定理が見つかりました.
定理3:ならばから作られる分数の値はになる.
これは上の二つの定理と同様に示すことができます.これは定理2の反対になっています.つまり定理2のをと表してをで表したものが定理3になります.さらに次の定理も見つかりました.
定理4:でかつならば.
背理法で示します.とするとになります.一方なのでこれに不等式を代入すると,.ここでとを使うと,となり矛盾です.よってが得られました.
定理5:とする.ここから定理3の操作を繰り返して列を作る.このとき第一引数が負の数になることはない.
でとし,とする.をと置くと,が成り立ち,である.よりである.をで表し整理するととなる.ところがより左辺はよりも真に大きいため矛盾である.従って定理3の操作を繰り返しても第一引数は負の数にならない.(証明終わり)
以上の定理からの構造が完全に得られます.とすると定理3の操作を繰り返せば,第一引数がだんだん小さくなります.無限に減少する自然数の列は不可能であり,第一引数が負の整数になることはないため,第一引数はある時点でにならなければいけません.このとき直前の自然数の組はとなることから,すなわちとなりこの組はとなります.ここから逆向きにたどる,つまり定理2の操作を繰り返せばが得られることが分かります.は定理1と定理2の操作を繰り返すことですべて得られることが分かりました.